二人並んで、頭上からひらひらと舞い降りてくる花びらをボンヤリと眺める。
ふと、可愛は青年の持ち物に目をやった。
「また絵を描いてたの?」
「まあね」
彼の足元には持参した紙や筆が置かれている。
「できたの?見せて」
「やだ」
「え~、ちょっとだけ!」
「や、だ」
なぜか頑なに見せようとしない青年に、可愛はションボリと俯いた。
「ねえ、この前から気になってたの。何の絵を描いてるか教えて?」
少女の気弱な表情に、青年はしばし考えた。
そして…。
「………見る?」
「いいの!?」
「ああ。お嬢さんには負けたよ。でも、見たって面白くないよ。それだけは保証する」
「構わないわ。見せて」
好奇心で瞳を輝かせる可愛に、青年はズイと紙を差し出した。



