さすがに鞠紗は呆然となった。
「しゅーちゃんを…殺した、の…?玖羅加が…?」
信じられないと訴えてくる彼女の眼差し。
玖羅加は耐え切れず後ろを向いた。
「そうだよ。あの時……鞠紗が殴られた日の夜…僕は部屋に忍び込んで、彼を殺した」
死体は運び出し、竹やぶの中に埋めた。
「彼に支配される鞠紗を見ていられなかったんだ!鞠紗を苦しめるあいつなんか、いなくなればいいと…ずっと…」
そこで彼は言葉を切った。
そしてもう一度、涙で濡れた顔を鞠紗に向けた。
「ごめんね。こんな、最低な僕で…ごめん」
孤独、悲しみ、憧れ、妬み、怒り、焦り、憎しみ。
様々な思いが重なって、修平への殺意に繋がった。
(玖羅加…。それでも…それでも私は――)
ギュッ…
そのまま消えてしまいそうな玖羅加を、鞠紗はきつく抱きしめた。