今昔狐物語


「次は水真馳おじちゃんが鬼だからねー」

「だからねー!あ、玖羅加も仲間に入れてあげる!遊ぼう!」

「えっ…いや…」

火叉七に腕を引かれ、玖羅加は焦った。

嵐華の子供だからか、どうもこの二匹は苦手だ。

「玖羅加は野暮用がありまして、一緒に遊べないんですよ」

見兼ねた水真馳がクスクス笑いながら助け船を出す。

「そうなのか?玖羅加?」

火叉七が不思議そうに年上のいとこを覗き込んだ。

「そうなんですよ。さ、私達は向こうで遊びましょうね」

「わかった。じゃあね!玖羅加」

「またねー!」

火叉七と可愛が手を振って駆けていく。

水真馳も二匹の後を追いながら、一度、振り返った。

「いいですか。逃げちゃ駄目ですよ?」


この言葉に何も反応せず、玖羅加はスッと森の奥に消えていった。