次の日、水真馳と飛牙と玖羅加は陽が沈みゆく中を歩き、人間の花街、吉原に赴いた。 「花街か。久しいな」 そんなことを言う飛牙に息子の玖羅加が冷たく言った。 「父上はあやかしの遊郭に通っていたでしょう?」 「ふふ、人間の女を相手にするのは久しいよ」 野狐は笑って話題を変えた。 「時に水真馳、その見鬼の女郎がいる妓楼はどこだ?」 「あそこですよ」 水真馳が示した妓楼は、すでに営業を開始している。 三匹は、常人には見えない獣の尻尾をゆっくりと振りながら、そこの見世へと近づいていった。