綺麗に最もらしいことを言っているが、ようするにだ。
「それって…ただ発情しただけじゃ――」
「うるさい」
シュッという衣擦れの音がちよの耳に届いた。
「やっ!やめて!!」
飛牙が素早く帯を取り上げ、ちよの着物が乱れる。
「返して!私の帯…!」
「聞けんなぁ。ちよが俺の愛を発情などと言っている内は、な」
「そんな…」
帯を片手に、数歩後退る黒狐。
はだけないよう自身の着物を恥じらいながら掴むちよをうっとりと見つめる。
その時だった。
「ちよー!!いるかー!?」
ちよのよく知った声が聞こえた。
「あ…お兄ちゃん!」
「ちっ、こんな所まで探しに来たか」



