そう言うと、禅が動き始めた。








「局長。俺が偵察に行って参ります……。」





陽「禅、行ってくれるか…………。

くれぐれも怪我しない様に

気をつけていけよ??」









禅「分かりました……!では………っ。」







そして、一瞬で消え去った。



だが、禅だけではどうも不安だ。







嫌な予感しかしない。

















『………局長。嫌な予感がします。

私も行って参ります!』





陽「椿?!…………………良いだろう。

分かった。但し、危ないと思ったら

直ぐに引き返して帰ってくるんだ。」







『御意。では。』








そして、私も一瞬でその場から駆け出す。







新政府軍のアジトと思われるところまでは、

5km程で、案外近い。











3km程度走ったところで、禅に追い付く。













禅「椿様?!何故此処に!!?」




いつもは冷静の禅も驚く。


ま、当たり前だ。



私は普通の人間とは違うからな。















『済まないな。禅の力不足な

訳じゃないんだが、どうも嫌な予感がする。


だから追ってきた迄だ。』











禅「っ………そうですか……………。

分かりました、椿様が言うのならば、

俺はそれに従う迄です……………。」







『有難う、禅。



───ここからは、気を抜いてはならない。』




















そう。話している間に、残り700mの

所まで来ていた。



ここからは迂闊に近付くと、返り討ちに

なる可能性が高い。


































その時だった。




─────やはり、嫌な予感というものは、

的中するものだな。


























私は思わず顔を歪める。






目の前には、100人を超える

大量の新政府軍と思われる奴等。
















皆が銃を構えている。

















『…………どうやら、待ち伏せ

されていた様だな。』







禅「椿様っ…………!!!

お逃げ下さい!!!!

俺が、囮になります!!!!!」









禅の口から出た言葉は、信じ難いものだった。


















─────あの誇り高き山崎烝の

一族の忍が、囮になるなど…………。













『巫山戯るな、禅!!!!

囮になって良い輩など、誰も居ぬ!!


…………私が囮になる!!!!








禅は、一刻も早く知らせに行けっ!!!!』
















禅「つ、ばき、様……………!!!


は、はいぃ…………………っっ!!!!」













禅は泣きながら素早く去って行った。







どうやら、囮、と言う言葉が彼の

闇らしいな。











さて、と───────























…………………ニタリ。




『お前達……………私を舐めている様だな……。

…………私は新選組一番隊隊長、沖田椿!!!











────────いざ、参る!!!!!』