ドキン、と大きく心臓が揺れて。



カッと顔が熱くなって



…わけもなく泣きそうになる。





「…ん。ありがと」




なんだか顔を見られたくなくて



コツン、とおでこを田中の肩にぶつけた。




田中の体が一瞬ビクッと強張って



…頭の上から、呆れたようなため息が降っくる。




「…だから今、危機感持てって言ったのに」



「…持ってるよ」



「持ってねーよ。こういうのは」




言いながら、ポンッとあたしの頭にのっかる、大きな手。





「好きな奴にしろって…」



「…うん」





だから、今してるって。




こんなあたしの気持ちに、気付いて欲しいような、気付いて欲しくないような。






……でも、今は




今はまだ、ただの同居人でいいから。だから







「…ありがとう」





大好きのかわりに。





「…ん」







…隣の君へ





届きますように。