「起きたら……この城の近くにいました」
「それで通用すると思ってるのかしら?」
「本当です。……僕はあの世界で、確かに死んだ……筈なのに」
青年は今にも泣いてしまうのかと思わせるくらい、酷く疲れた表情で、頭を垂れて首を左右に振った。
エルヴィンは美眉をひそめ、目線を左に向けた。
実際には考え事のため、自然と目線が左に向いただけだが……。
二人の間に妙な空気が流れる。
「信じてもらえませんよね……僕は“人間でもない”ですし」
「……?」
青年の不可解な言葉に、エルヴィンは首を傾げた。
それを待っていましたと言わんばかりに、青年は再び剣を上げ、今度は刃を抜いた。
そして────
