「……『人狩り』」 「えっ?」 小さく聞こえた、甘く厳しい言葉。 エルヴィンは聞き返したが、青年は言葉を続けた。 「貴女は、僕を殺してくれますか?」 雲が急速に動き始めたことにより、青年の表情が見えた。 魔界でも珍しいワインレッドの瞳を揺らし、青年は問うたのだ。 エルヴィンは唖然とした表情で青年を見つめ、少し顔を背け、首を左右に振った。 「……殺さないわ」 「どうして?」 エルヴィンの答えに、青年は噛みついてくる。 野犬にしては優しく、甘い噛みつき方で。