無礼を承知で、

吉宗さまの手を引き、

「桐里どこへいく」

牢に一人で置き去りにされている女性のところへと

彼を連れて行った。


「貴方…と、え!?」


どうやら、

彼女は吉宗さまを知っているようで

目をとても開き、

でも吉宗さまは人差し指を口につけて、

微笑んだ。


「この女性は弟君の助けのために

馬に乗られていた方の前に出てしまっていたのです。

けれど…

行いを咎めようとしている方が

いらっしゃるのです。

御仏様は分かっています、

この方がどれだけの善意でいるのかは」