華は儚し

「無礼だ！」

「無礼だ！」


桐里が助けを呼ぼうとしてしまうので、

咄嗟に口を隠して物陰に隠れるのだ。


「…押さえろ。

世とは従うものがある」


桐里の涙が手の甲に水筋を作る。


心の優しいものにしかできないことだろう。

俺もその感情がいつ消えてしまったのか分からない。


「…っおい！！」


黄昏に耽っていた所為で

桐里がその場に行ってしまうのだ。


桐島様の頼みが果たせないじゃないか、

そして愛する人を守る

という誓いが破られてしまうのだ。