「これで運ぼう。」
オオカミを支える男に言う。
オオカミは立ったまま男に寄りかかっていた。
「わかりました。僕たち二人で君を運ぶから、この上で伏せていてくれる?」
またオオカミに話しかける男。
動物に話しかける人は今までたくさん見てきた。
着せ替え人形にされたチワワに話しかける人。
悪さをした犬にヒステリックに1時間も説教たれる人。
だから、オオカミに話しかけること自体はそんなに驚かない。
驚いたのは、オオカミがその言葉を理解しているように思えることだ。
今だって、ほら。男の言った通りに担架の上で寝そべっている。
