「え、……ど、どうぞ」
ちょっとどもりながらそう言えば、楓弥は驚いたように目を見開いて。
優しい笑みを浮かべてあたしにゆっくり近づいてきた。
唇が触れる…前に、楓弥は閉じていた目をもう一度ひらいた。
そして不安げに言う。
「……キスで済むかわかんねー」
「……」
…。
!?
「そ、それはいかんいかんいかんいかんあかん!!絶対キスで終わらせて!」
「わかった。多分」
多分じゃいけねえよ旦那!
「……不安だ」
「しょうがねえ、もし止まんなくなったら俺がオマエをもらってやるよ」
「………………は?」
「うっし。これで万事解決」
今ものすごく大事なことを楓弥はさらっと言った気がする。
「ね、ねえちょいちょいちょいちょい!今何て言っ、」
「もう黙れ。うるせえ」
「ひでえ」
「もしそーなったら俺がもらってやるっつったんだ、おとなしくキスされろ」
そう言ってどんどん距離を詰める楓弥。
…うう、そんなこと言われたら反撃できないじゃないか。
あたしは少しだけ口を尖らせたけど、キスが降ってくるのは予測できたので、あたしはゆっくりと目を閉じた。

