「………あ」 「……忘れてたのか」 忘れてた。 忘れ去ってた。 忘却の彼方だった。 …う、ん。まあでも、うん。 「ど、どうせフリだけだよね?」 「台本ではそーなってる」 じゃあ大丈夫じゃないか。なーんにも心配ないじゃん! 「じゃ、大丈夫だね!行ってくる!バイバイ!」 「っちょ、」 すっきりした気持ちで楓と別れ、衣装合わせのために体育館へ向かった。 「……っ、」 楓弥があたしに言おうとしていたことを聞こうともせず。