「まーた面倒なのに捕まっちゃってたねえ、愛梨」
「うん……誰だろ、あの人」
「さあ?それより大丈夫?ちょっと休んでていーよ?」
「んー……」
そうしたいのは山々なんだけど。
ぐるっと周りを見回すと、あたしのことなんて目に入っていません、みたいな感じで忙しそうに走り回るクラスメイトの姿がある。
……無理かな。
「大丈夫。別に何かされたってわけじゃないし」
「……わかった、でもいつでも休んでいいからね?」
「了解です」
びしっと直立姿勢をとり皐月くんをみると、「うむ」と優しい声色で言いながらあたしの頭を撫で、仕事に戻っていった。
……いい人ですねー。

