ズキリ、その情景が頭に浮かび、胸が痛む。同情とかじゃない、決して。
「……」
ご飯を完食し—――よし。
お母さんが夜勤で出かけていったのを見計らい。
準備オーケーです。
「桃真楓弥」
「あ~?なんだよ俺テレビ見てんだよ邪魔すんじゃねえ」
「なんだよブステメー、緊急事態じゃねえと許さねえぞ」
奴らがのろのろ近づいてくる。
…うん、これは自分に何ができるか考えた結果だ。そう言い聞かせる。
そして―――あたしの目の前に気配がしたのを感じて、あたしは両手をめいっぱい使って、双子の頬を、…びろんびろんびろんびろんびろんびろんびろん!!
真横に引っ張った。

