少し走っただけで息が切れる。疲れた。 「……っま、って、」 待って、お願いだから止まって。 今走っているのが正しいのかあたしには分からない。 …………けど。 持っていたわたがしの中心部である割り箸を、その頭に向けて。 「待てって……言ってんでしょうが!!!」 すこーんと投げた。 ……そうだよ。 正しいか間違ってるかなんてどうでもいい。 今あたしがやりたいことをすればいい。 ……楓弥の頭に当たったのかは暗くてよく分からないけど、ぴたりとその足が止まった。 「……っふ、ぅや、」