「……」 一度逸れた目線がまた、あたしの方に向く。でもまた逸れる。そしてまた目線が交わり、楓弥の顔が少しだけ歪む。 切なげに苦しげに、眉を寄せる。 そして―――――――――――――― 「…………え、」 え、え、え、 今、楓弥が目の前で突然。 「……ちょっと!!」 地面を蹴って走り出したんだけど。 ……どうしよう。あたしは今追いかけることが正しいんだろうか。 心の中で葛藤する。 …………よし。 それでも次の瞬間には、後を追いかけるようにあたしも足で地面を目一杯蹴り上げた。