「ジンジャー」 「はいはい」 ごと、と音を立てて冷蔵庫からジンジャーエールを出す動作はもう、手慣れたものになっていた。 コトリ、コップが置かれる。 ………っつーか。 「テメーの親、今日も仕事かよ」 「え?ああ、違う違う。二人で旅行」 「……忙しい親だな」 「うん。家にいることの方が少ないしね。………あ、電話」 と、俺から目線を外してスマホをいじるブス。 「あ、佐藤くん」 「………あ?」 「ごめん、ちょっと行ってくる」 と、リビングを出て扉の前…か?で話し始めた。