「へ、っ、」 「もーちょっと考えて動けや。脳みそだいじょーぶですかー?」 ぎゅ、と右の掌が包まれる感覚。 包んでくれているその手は大きくて温かい。 「……楓弥…」 「あ?…は!?泣いてんの!?」 え。 少し目を親指で拭うと、冷たい水のような…というか水だろう。 「泣いてたのか、あたし」 「気付いてなかったのかよ、バカだな。つうか何でドア閉めるんだよ、手間取ったじゃねえか」 うん、ごめん。 「ありがと、」