いまは1時間目の数学の授業中。
教壇にいるのは担任の清水先生だ。
当てられた生徒が前に出て問題を解いているなか、
あたしたちは教科書に隠れてこそこそ話す。
「いいから、なんかあるならさっさと話せよ」
「なんかっていうか……」
「なんもねぇの? じゃあお前、あれか。俺に見とれてただけか」
「ばっかじゃないの!? そんなわけないじゃん!!」
…………はっ!
しまった!
つい叫んじゃったけど、いま授業中……。
「藤村ぁ。俺の授業になにか文句でもあるのか?」
清水先生が呆れたような顔でこっちを見ている。
最悪だ。
「すみません。なんでもありませーん」
「授業中くらいおとなしくしてろー」
「はあい」
クラスメイトがくすくす笑う。
コウはニヤニヤ。
誰のせいだと……!


