「あー藤村。放課後、ちょっといいか」
帰りのHRのあと、清水先生に呼ばれた。
あたしはうなずいて、鞄を持って席を立つ。
隣からの視線を感じたけど無視した。
もう関わらないって決めたんだから。
ひと気のない、校舎のはしっこの階段。
そこまで来て先生がやっと立ち止まる。
「単刀直入に聞くけど、島田となんかあったか?」
「なにもないです」
「即答かよ。なにもないにしちゃ、あいつの様子が変だし。教室も妙にぴりぴりしてると思うんだけど?」
清水先生は階段の一番下に腰かけて、まあ座れとばかりに横を叩いた。
ここ階段だし。
座るとこじゃないけど……まあいいか。
あたしも黙って座って、膝を抱えた。
階段は思った以上にひんやりしていて気持ち良い。


