でも階段の踊り場で、追いかけてきた島田光太郎につかまってしまう。
「待てって!」
「なに追いかけてきてんの!? 放してよ!」
「いいから! ちょっと聞け! 藤村おまえ、あいつに謝ろうとしてんのか?」
なにその真剣な顔。
あたしは島田光太郎の大きな手を振り払った。
「そうしようと思ってたけど、あんたとか周りの女子がウザいからやめた」
「なんでだよ! 謝ればいいだろ!」
「なんであんたに決められなきゃなんないの!? 謝るとか苦手だし、謝り方わかんないしもういい!」
「わかんないってなんだよ!? 普通にごめんって言やあいいじゃん!」
「普通ってなに? あたしの“普通”に、友だちに謝るなんて項目はないの。だってその友だちがいないんだから!」
あんたの“普通”は、あたしにとって全然普通なんかじゃない。


