ふと、
彼女がこっちを見た。
う……っ
澄んだ瞳にまっすぐ見られると、迫力がすごい。
「あなたが、転校生の藤村さん?」
「……そうだけど?」
彼女はやわらかく微笑んで、はじめましてと言った。
「わたし、隣のクラスの桂木沙弥です」
「どーも。藤村真衣です」
「藤村さんて噂どおり、すごく可愛い。モデルさんみたいね」
なにそれ。
すごく可愛い? モデルみたい?
言われ慣れてる誉め言葉たち。
なのに、目の前の美少女の口から出た言葉だと思うと受け入れられなかった。
「それってイヤミ?」
「え?」
「あんたみたいな子に言われても、イヤミにしか聞こえないんだけど」
目の前の綺麗な瞳が、戸惑ったように揺れる。


