「そうだ、光太郎」
彼女の宝石みたいな黒い瞳が、島田光太郎を見る。
「んー?」
「帰り、家に寄ってくれる? 親戚からお野菜がいっぱい届いたの」
お野菜、だって。
なんだか彼女が言うと、ただの野菜も高級で上品な食べものに感じる。
「えー。野菜よか肉がいいなあ」
「光太郎は昔から好き嫌い激しいんだから。バランスよく食べないと背も伸びないよ」
「俺平均以上はあるし~」
「屁理屈言わないの」
しょうがないなと笑う彼女は、小津くんという彼氏と話している時より自然体に見えた。
幼なじみって、彼氏より近い存在なの?
なんかよくわかんないけど、イライラする。
へらへら笑ってる島田光太郎にもすっごくイライラする。


