島田光太郎はそれを、笑顔で眺めていた。
嫉妬とか、妬みとか、そういう感情はなさそうだけど、
その横顔は少し……ほんの少し、さみしそうに見えた。
「あ、桂木さん! この間は辞書貸してくれてありがとー!」
「どういたしまして」
「沙弥ちゃん、昨日のノート助かった! 先生に当てられちゃったからさあ」
「ほんと? 役に立ててよかった」
このクラスの子たちにも、桂木沙弥という美少女は受け入れられてるみたい。
むしろ、人気者?
なんでだろう。
彼女はこんなにも他とちがうのに。
あきらかに普通とはちがうのに。
どう考えても、彼女はあたしと同じ側の人間だ。
どうしたって目立ってしまう存在だ。
それなのに……なんで?


