ぎゃあぎゃあ言い合いをしていたら、廊下の方が騒がしくなった。
ふとそっちを見ると、野次馬たちが誰かに道をあけるところで。
「か、桂木さんだっ」
「沙弥ちゃんも転校生見にきたの?」
「沙弥ちゃんやっぱ綺麗だな~」
「桂木さん、小津ならあそこ」
「うん。みんなありがと」
現れたのは、あの美少女。
島田光太郎の幼なじみだ。
男子にも女子にも声をかけられて、気さくにそれに答えてる。
にこにこ笑って、愛想よく。
なんだ……全然ちがうじゃん。
あたしと全然ちがう。
「小津くん」
「桂木。どうした?」
「昨日借りたノート、返そうと思って」
「もう? 別に急がなくていいのに」
「大丈夫。移させてもらったから」
目の前で、お似合いの美男美女カップルが仲良く会話しはじめる。


