「お前ほんとに可愛くねぇな」


「しつこいな。あたしは誰がどう見ても可愛いでしょ! 赤ん坊の頃から一緒にいたくせに自分のものにできないなんて、情けなーい」



しかも親友に横からかっさらわれたのに、その親友ともへらへら笑って仲良くしてる。


こいつにはプライドってもんがないの?




「そんなんじゃねぇよ」




「は?」


「あいつと俺は……そんなんじゃない」




あいつって、どっちのこと言ってんの?



沙弥って幼なじみ?

それとも小津くんのこと?




そう聞こうとして隣を見たら、

島田光太郎が変な顔をしてたから聞けなかった。



寂しそうな、ほっとしてるような、

なんだか胸がキュッとなるような顔して遠くを見てる。



それはあたしの目に、ひどく大人びて映った。