「光太郎も一緒に図書室で勉強しない?」
「いいな。光太郎、たまには行こうぜ」
「やだね図書室なんて。窒息するわ」
「阿呆。しゃべっちゃダメなだけで息はしていいんだよ」
「だからしゃべんないと俺死んじゃうって」
「それもそうか。行こう、桂木」
「うん。じゃあね、光太郎」
くすくす笑いながら、美少女が小津くんにうながされて廊下に消えていく。
ひらめいたスカートは、他の子よりもかなり長かった。
ふたりがいなくなると、教室の空気が元に戻った。
あたしの呼吸も心臓も元通り。
ただ、衝撃だけが胸に残ってる。
「……で。誰が世界一可愛いって?」
島田光太郎が、にやにやしながら聞いてきた。
イヤな奴。
ほんと性格悪い。
「あたしに決まってるでしょ」
強がった答えはいつもより少し、小さくなった。


