可愛くないって言わないで!!



あたしがそう言うと、島田光太郎はぽかんとしたあと

机を叩いて爆笑した。



「あははははははっ! お前それ冗談!? 冗談だよな!? 笑えねー!」


「笑ってんじゃん! むしろ笑いすぎだし!」


「だってお前、マジなの!? 男子全員お前のこと好きとかあるわけねーだろ!」


「あるの! しょうがないでしょ! あたしはそれだけ可愛いんだから!」


「お前マジか! なに、自分のこと日本一可愛いとか思っちゃってんの?」



目に涙をためておかしそうに言う島田光太郎に、

あたしは「ふん」と冷めた目を向けた。



「あんたほんとにバカじゃない? あたしは世界一可愛いの」



そう言った瞬間、教室の空気が変わった気がした。


あたしのセリフで変わったんじゃない。

クラスメイトたちの目はあたしじゃなく、教室の入り口に向けられていた。