可愛くないって言わないで!!



お金はいらない。




沙弥の幸せを見届ける。


コウのその義務、あたしも手伝う。



だから、沙弥が幸せになったら……。




そのあと、少しでいいからあたしのことも見てくれる?






そんな気持ちは口にできないまま、コウの指にそっと触れた。



波がふたつ、寄せて返したあと、


コウの手が優しくあたしのそれに重なった。