「そうなんだ。事情はよくわかんないけど、沙弥の片想いを隠しておきたかったんだね」
「うん……」
「でもさ。それってコウにまで秘密にしておくことはなかったんじゃない?」
沙弥の黒い瞳が揺れる。
あたしの言葉が、ぐさりと胸に刺さったのかもしれない。
でもあたしは、言葉を止めようとは思わない。
沙弥を傷つけたくないけど、
大好きな人が良くないことをしてるなら、止めるべきだ。
それにあたしは、コウのことだって心配だから。
「コウは沙弥の幼なじみじゃん。アイツは沙弥が隠しておきたいことを、言いふらすような奴じゃないよ」
「わかってる。それは、わかってるの。でも……小津くんと付き合ってるフリをしたのは、光太郎のこともあったから」
「コウのこと?」
コウの為に、嘘をついたってこと?
なんかややこしくなってきた。
全然理解できない。


