ああ、やっぱりコウが好きなのは沙弥なんだな。
小津くんを睨みながら、頭のすみでそう思った。
予想してたはずなのにまるで現実味がなくて、他人事みたい。
「そんなの……とっくに知ってるし」
「そうなんだ?」
「だからって小津くんの言う通りにする必要なんかない」
「そりゃそうだけど。でも俺は真衣が傷つかないか心配なんだよ。俺と付き合ってくれたら、俺が真衣を守るよ」
なんだか空々しいセリフだ。
小津くんはきっと、あたしのことなんて好きじゃない。
“俺にはお前が傷だらけになって立ってるように見える”
夕日の前でそう言ったコウ。
そうだね。コウは間違ってなかった。
「悪いけど、あたしはとっくに傷だらけなの」
だからいまさら傷がひとつやふたつ増えたところで、どうってことないのだ。
小津くんにそう言い捨てて、あたしは教室を出た。


