沙弥は絶対、 理由もなくコウを傷つけるような嘘はつかない。 「お前、もう首突っ込んでくんな」 冷たい言葉のあと、振り払われた手。 あたしはもう、コウの背中にかける言葉は見つけられなかった。 なんで。 なんでそんな風に突き放すの。 せっかく近づいたと思ったのに。 なんで……。 太陽の下へと出ていくコウ。 暗い日影の玄関で、あたしはしばらく立ちつくしていた。