「……ああそうかよ」
震える声でそれだけ言うと、
コウは沙弥に背を向けこっちに歩いてきた。
「コウ……」
そのままあたしの横を通り過ぎて、廊下へと出ていく。
沙弥はつらそうに顔を歪めて、こっちを見ていた。
でもたぶん、コウの方がずっと痛そうな顔をしてる。
沙弥と目が合ったけど、あたしはまだ何も言えなくて。
少し迷って、コウを追いかけ廊下に出た。
人だかりができていて、すぐには輪から抜け出せない。
コウは? コウはどこ?
なんとか抜け出したあと、コウを探して廊下を走る。
教室にはいない。
廊下にもいない。
玄関まで行くと、ようやくコウを見つけた。
外靴にはき終えたところだった。
「コウ!」
一瞬あたしを見たコウだけど、何も言わずに外に出ていこうとする。


