「いちいち怒鳴るなよ。俺たちは本当に付き合ったことはいちどもない。嘘だと思うなら桂木にも聞いてみれば?」
静まり返っていた廊下がざわめきだす。
うそ。
うそでしょ。
「だって……いっつも一緒にいた、よね」
「放課後はね。図書館で勉強してただけだ」
「映画、観にいったことあるって……」
「たまたま観たい映画が同じだっただけ。手も繋いだことはないよ」
なんで?
コウだってふたりのこと恋人同士だって思ってたよね?
沙弥の幼なじみでもあって、小津くんの親友でもあるコウが。
どうしてコウが本当のことを知らないわけ?
ふたりでコウをだましてた……?
「だからさ、真衣」
小津くんがあたしの正面に立つ。
至近距離で見る整ったその顔には、やっぱり落ち着いた笑顔が浮かんでいた。
「俺と付き合わない?」
あたしの嫌な予感は、本当によく当たるのだ。


