「阿呆。何やってんだ光太郎」
「いてっ。なにすんだよ宗介」
あたしの前の席にいた男子が、ノートを丸めたもので、島田光太郎の頭をぽかりと叩いた。
さらりとした黒髪でメガネをかけた、落ち着いた雰囲気の男子。
メガネはメガネでも、おしゃれメガネってやつ。
すっと切れ長な瞳に高い鼻で、わりとイケメン、かな。
「さっきもすげー話しかけてたけど、自己紹介で藤村さんが話しかけるなって言ってただろ」
話しかけるなとまでは言ってないけど、
メガネイケメンはわりといい奴かも。
「話しかけるなって言ってたっけ?」
島田光太郎が猫みたいな目を丸くさせてあたしを見る。


