「沙弥は知ってたんだろ。つーか沙弥が頼んだんだから、あいつは傷ついてねえんだろ」
「そうだけど……。じゃあ、なんで?」
「だってお前、バカなんだもん」
「はあ!? さっきからあほだのバカだの、アンタにだけは言われたくないんですけど!」
おでこをさすりながら怒鳴ってやる。
でもコウはなぜか、予想外にまじめな顔をしてあたしを見ていた。
「ちょっと考えたらわかることじゃねーか。宗介なんかと休みの日に一緒にいて、誰かに見られたらどうなるかくらい」
「それは……」
「宗介はわかってたはずだ。頭良いし、気ぃ回る奴だし。だからアイツにいちばん腹が立つんだよ」
「でも小津くんは沙弥に頼まれたから仕方なく……」
「断りゃよかったんだ。そしたら約束だって別の日にするとか、あとはもしかしたら、沙弥が俺に連絡してきたかもしんねーだろ」


