水平線を真ん中に、 海と空が鮮やかなオレンジに染まってる。 船を染め、雲を染め、街並みを染めながら太陽が沈んでいく。 「きれー……」 思わずもれた呟きに、 自転車のスピードが落ちた。 ゆっくりと坂道を降りていく時間。 きれいで、あったかくて、幸せで。 なぜだかちょっと泣けてきた。 「ちょっと寄り道してくか」 コウがそう言った時、 きっとあそこだと思って。 あたしは背中に伝わるように、大きくうなずいた。