「え。なに言ってんの?」
「桂木も光太郎も、名前で呼んでるだろ」
言われてみれば、そっか。
ふたりも呼んでるか。
「真衣はまだ帰らないの?」
さっそくかい。
別にいいけど、なーんか違和感。
「進路指導室行こうかなって」
「ああ。付き合おうか?」
「別にいい。小津くんは沙弥と図書室でしょ」
「いや。今日は桂木、用事があるらしい。じゃあ、俺は帰るかな」
鞄を持って、メガネをくいっと直す小津くん。
さっさと行ってほしい。
また変な噂立ったら面倒だし。
「じゃあ、真衣。また明日」
「うん。また明日」
「俺のことも、宗介って呼んでいいから」
「え」
微笑みながら、小津くんは教室を出ていった。
いや……。
いやいやいや。
宗介、なんて
呼ばないし。


