沙弥と別れて教室に入ると、
コウが自分の机に突っ伏していた。
「コウ？」
声をかけてみたけどぴくりとも反応しない。
小津くんは見て見ぬふりって感じで関わろうともしないし。
このふたり、なんなの？
仲良いんじゃないの？
男の子って、よくわからない……。
コウの隣りに座って、鞄を開く。
中には昨日の雑貨屋さんの包みが。
リストバンド、持ってきちゃった……。
いまは絶対、渡す時じゃない。
だったらいつ渡す？
そもそも渡せるの？
なんて言って渡すの？
ぐるぐるぐるぐる考えて、結局鞄のファスナーを勢いよく締めた。
渡せる気が全然しない。
とりあえず、渡す前にコウとちゃんと話さないと。
放課後までに、コウと話す。
そう決めて、あたしはひとり強くうなずいた。
