渡すにしてもなんて言うわけ?
あんたに似合いそうだから、なんて言えるわけないじゃん!
恥ずかしすぎる!
答えは出ないまま会計をすませて外に出る。
暑さに一瞬くらっとした。
「あれ。藤村さん、大丈夫?」
「なにが?」
「顔が赤いよ。暑さにやられた?」
それはきっと、アイツのことを考えていたから。
あたしって恥ずかしいヤツ。
こんなのあたしじゃないみたい。
「熱射病とかじゃないよね?」
心配そうに、小津くんがあたしのおでこに手を当てる。
うわ。
ちょっと、さらっと触られた。
あたし男子との距離感にけっこう敏感なのに。
小津くんはするりとあたしの警戒をすり抜けた。
なんでもないからって、手をどけようとした時。
「お前ら、なにやってんの?」
すぐそばの車道の脇に、コウがいた。


