それはそうだろうね……て、なに?
小津くんて、沙弥の彼氏なんだよね?
困惑してると、小津くんはメガネをなおしてにっこり笑った。
「冗談だよ」
「……小津くんの冗談で、つまんないね」
「ははは。」
ははは、じゃないし。
小津くんてナゾ。
意地悪そうと思えばイイ人で、
何を考えてるのかよくわかんない。
沙弥の趣味、悪いかも。
スカーフをレジに持っていく途中、リストバンドを見つけた。
あ。あ紺色のやつかっこいい。
色ちがいの白もいいかも。
アイツに似合いそう。
ちらりと小津くんをうかがう。
彼はもう入り口の方に向かっていた。
小津くんに見られないように、サッとリストバンドを手にとってレジへ急ぐ。
うわー。
あたしなにやってんだろ。
こんなの買ってどうすんの?
アイツに渡すの?


