小津くんはちょっと考えたあと、トリコロールの方を指した。
「藤村さんには、こっちの方が似合うんじゃないかな」
「はあ? あたしの似合うものを小津くんに聞いてどうすんの。あたしじゃなくて、沙弥!」
「ああ、桂木か。桂木は細いボーダーの方が似合いそうだから、やっぱりこっちがいいんじゃない?」
「そっか。うん、そうかも」
よし、しゃあトリコロールのスカーフで決まり。
それをふたつ手にとったあたしに、小津くんは笑った。
「また桂木とおそろいにするの?」
「うん。周りが黄色だらけになっちゃったし」
「藤村さんて、本当に桂木が大好きだなあ」
なんか、バカにしてない?
別に大好きとか、そんなんじゃないし。
あたしと釣り合うくらいの女子に会ったのが初めてってだけで。
沙弥はイイ子だけど。
好きか嫌いかで言えば、そりゃあ好きだけど。
「まあ……少なくとも小津くんよりあたしの方が沙弥のこと好きかもね」
なーんて。
彼氏の方が好きに決まってる。
と、思ったんだけど。
「ああ。それはそうだろうね」
…………は?


