冷房がきいた駅前のバスターミナル。
3度目のナンパを追い払ったところで、あたしはため息をついた。
あーうざい。
男どもの飢えた視線がうざい。
沙弥まだかな。
早く来ないかなー。
約束の時間の2分前になったところでケータイが鳴った。
【ごめんね真衣。急にお客さまが来て、家にいなくちゃいけなくなったの。わたしから誘っておいて本当にごめんなさい】
「ええぇ~……?」
沙弥からのラインだった。
ドタキャンは別にいいけどさあ。
ちょっと楽しみにしてた分、ショック。
ちょっとだけど。
服もちょっと気合い入れただけだけど。
えりもとにフリルのついたノースリーブの白シャツ。
ふんわり揺れるシフォンスカート。
髪は編み込みいれてアップにした。
冷静になってみると
女友だちに会うだけなのに、気合い入れ過ぎた感が……。
たしかにこれじゃ、真子も不振がるか。


