少女狂妄

「おかえりなさい」

「ただいま」


 夕方、帰ってきたおじさんを私は出迎える。


「お腹すいただろう。夕食にしよう。手伝ってくれるか?」


 スーパーの袋も持ったおじさんが、私の頭を撫でてくる。

 大きな手が気持ちいい。


「なに作るの?」

「ミネストローネ」


 今朝見た、具だくさんスープの特集を思い出した。


「おじさんも見てたの?」

「なにをだ?」


 そんな会話をしながら、おじさんと台所に立つ。

 おじさんはもう一品と買ってきていた鶏肉を焼いて、私はミネストローネ用の野菜を刻む。


「玉ねぎ入れていい?」

「……少しだけなら」


 鶏肉をソテーしていたおじさんの眉間にシワが寄る。

 玉ねぎが嫌いなんて、変わってる。

 私はクスクス笑いながら、玉ねぎの皮を剥く。


「少しだけね」