「ああああああ!」


 自分の叫び声で少女は目を覚ました。

 錠剤を飲みつくした夜から、どれだけ経っただろう。

 叫びと共に飛び上がろうとする少女を、看護師たちが押さえつける。

 その手をのけようとするが、少女は拘束衣を着せられていた。

 指先が出ないよう袖の先は閉じられ、ベルトで体に固定されている。

 点滴の管が首に繋がっていた。


「やあ、樹」


 ベッドに押さえつけられた少女は、抵抗をやめて看護師たちの向こうに語りかける。

 部屋に看護師以外の人影はない。


「ああ、集中治療室なんだ。どうりで天井がいつもと違うと思った」


 大人しくなった少女から看護師たちが離れても、少女は話し続ける。

 何もない空間を見つめながら、まるで誰かと会話をしているように続ける。