少女狂妄

 クッションに水滴が流れて、濡れる。

 もうすぐ一周忌だった。

 私の家族はみんな死んでしまった。

 その死にざまが脳裏を過ぎり、吐き気が込み上げてくる。

 胃がひっくり返って、食べたばかりの朝食を押し戻そうとする。

 私は飛び起きて、それを押しとどめる。

 ますます涙が溢れて、私はうずくまった。


「おじさん……」


 名前も知らない人を呼ぶ。

 でも、おじさんはもう出かけてしまった。

 この家には私しかいなかった。

 まだ家族がいたころは、それが妙に心地よかった。

 でも、今は耐えられない。

 この寂しさが、この孤独が、私に与えられた罰なのかもしれない。

 その罰の中で、おじさんだけが赦しだった。

 あの地獄から、私を救いあげてくれた。

 かけがえのない人。

 私はおじさんを愛してた。