少女狂妄

「完了~」


 洗剤を洗い流して、食器をカゴに並べて自然乾燥させる。

 時計を見ると、八時を少し過ぎていた。

 私は居間に移動すると、ソファーに腰掛けテレビのリモコンを手に取る。

電源を入れたテレビに映ったのは、奥様が見るような情報番組だった。

 具たくさんスープのレシピ特集をしている。

 料理をするのはおじさんの担当で、私はしない。

 それでも私はリモコンを操作して、テレビの音量を上げる。

 窓の外から、騒がしい声が聞こえる。

 八時を過ぎると、登校する生徒が増える。

 美味しいスープの具材を提案する声が、外から聞こえる笑い声をかき消す。

 私はソファーに横たわり、耳を塞ぐようにクッションに頭を埋める。

 私は制服に着替えない。

 登校しない。

 学校へ行かなくなって、もう一年以上が経っていた。