少女狂妄

 空気よりも冷たい水に、痛みさえ感じた。

 震えるというよりも痙攣を起こしているようで、脊髄反射のように手が自ら逃げ出そうとする。

 それを、私は自分の意思で抑え込む。

 体が冷たいと悲鳴を上げている。

 私はそれを笑いながら抑えている。

 手は窒息なんてしないけど、まるで人殺しのような気分だった。

 私は、じっと手を見つめる。

 視界のなかに水と手しかないぐらい、じっと見ていた。

 その視界の端からもう一つの手が伸びてきて、水の中に浸かる。

 その手の出現に、氷よりも冷たいものが背筋を走った。


「っ……!」


 息を呑み、呼吸が止まる。

 水に浸した手が、今度こそ痙攣ではない震えを起こす。

 水面が乱れて、肌の冷たさとは裏腹に汗がにじむ。

 僅かに開いた唇から浅い呼吸を繰り返し、自分の手に重なる手を見つめた。